いつまで節約志向を続けるつもりですか?
万次郎:成長著しいフィリピンに住んでいると
日本人の節約志向が過度に感じることがある。
6年ほど前に努めていた会社の話。
当時の上司は営業や現場に対し、
コスト削減をうるさく言っておった。
当時、総務部に所属していた私は、
予算や経費管理を任され、不本意では
あったが、経費節約が主な仕事じゃった。
上司と現場との板挟みで毎日ストレスが
溜まったもんじゃ。
この時、気がついたのはコスト削減にも
限界があるということじゃった。
電気料金節約の為に残業も制限した。
そして、売上に限界のない営業部員の
プラス志向が妙に羨ましかったことを
今でも覚えておる。
会社は売り上げが伸びていれば、資金繰りも
なんとか回るし、給与も上がるので将来的に
不安もなかった時代。
成長する社会を経験したことがない今の世代は、
成長しない社会を前提に生きがいを見いだそうと
しているように見える。
節約という言葉はフィリピンで未だに聞いたことがない。
そのおかげなのか、毎年消費が増大し、6%以上の
経済成長率に繋がっておるように推測する。
日本の国内総生産(GDP)は、世界第3位、
しかーしじゃ、国民一人あたりの総所得は22位。
これで先進国の一員と言えるのだろうか?
社会保障費(年金・介護・医療)に将来不安を抱えた
国民の消費低迷がデフレを持続させ、国の政策も
打つ手がないように見える。
早めに将来不安を払拭しなければ、保険料の納付率に
影響が出て来るのも時間の問題ではないか。
所得増大が先か消費増大が先かは、鶏と卵の関係に
似ておるが、 全ては一人一人の意識の問題なのか?
それとも農耕民族の遺伝子がそうさせているのか?
何れにせよ、過度な節約志向は成長を妨げる要因に
間違いない。
長寿国日本と言われるが、長生きできる国よりも、
長生きしたい国になってほしいもんじゃ。