セブ案内所

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ベーシックインカムは都市伝説になるのか

 日本国民にとって危険な政権の意思決定が、ベーシックインカム導入の動きで浮かび上がってきました。
 菅首相のブレーンが社会保障改革を実行させようとしているのは、コロナ対策と、増え続ける社会保障費問題を一挙に解決する方法です。


 社会保障をベーシックインカムに統合して生活保護の代わりに国民全員に7万円配れば、当面のコロナ生活破綻は回避できる。


 しかも、今後、国民の医療費や介護などの費用が膨れあがっても、政府は「100兆円」を配るだけで、あとは「自助・自己責任だ」と新たな財源の心配をする必要はない。「増税なき財政再建」を実現しようという国家の陰謀です。


 日本の社会保障は、加入者の掛け金で運営される社会保険制度、つまり、国民が互いに支え合う“共助”の仕組みになっています。
 しかし、年間約104兆円(月7万円×1億2500万人)のベーシックインカムの財源確保には、年金保険料だけでは足りません。


 竹中プランが日本で導入されれば、年金、医療、介護、生活保護などの社会保障給付は打ち切られることが想定されます。年金を老人ホームの毎月の入居費用支払いにあてている高齢者は、ベーシックインカムが実施されると費用を払えなくなって退去を迫られるケースもあり得ます。健康保険や介護保険制度の共助の仕組みも成り立たなくなり、現役世代も高齢者も、病気や介護が必要になったときは全額自己負担。月額7万円の中から払ってくれということです。

 実際に日本で導入されたらどうなるのか。
年金廃止とベーシックインカム導入の生活への影響は公的年金のタイプや世代によって差があります。最も損失が大きいのが、年金受給が近づく50代以降の厚生年金加入者のサラリーマンとなる可能性があります。


 現在の年金制度について、安倍晋三・前首相は国会で「100年安心は変わっていない」と抜本的改革の必要はないと説明してきました。
 その安倍政権の方針を踏襲すると宣言して政権を受け継いだ菅首相が、社会保障制度をすべて廃止してベーシックインカムに一本化するような乱暴としか思えない改革に走り出したのは何故なのか。


 ベーシックインカムとは、政府がすべての個人に対して、生活に最低限必要な現金を無条件で毎月支給する制度ですが、一人に毎月七万円給付する案は、年金や生活保護などの社会保障の廃止とバーターの話でもあります。国民全員に七万円を給付するなら、高齢者への年金や、生活保護者への費用をなくすことができます。それによって浮いた予算をこちらに回すのです。


 もうひとつは、マイナンバーカードを2年後には全国民に導入する計画があるので、国民投票の前にBI税導入を決めることでマイナンバーカードの必要性を正当化するためです。
BI税の導入で国民投票になっても、年金や生活保護などの社会保障を受けていない若い世代のほうがメリットがあり、圧倒的に数が多いので、BI税とマイナンバーカード導入が一気に加速するからです。


 年金が少ない人も、『月7万円』の甘い言葉に騙されてはいけません。若い世代は働かなくてもお金がもらえるから歓迎するかもしれませんが、高齢者の生活が窮地に陥ることは間違いありません。社会保障が充実していない国であればともかく、日本で導入するには弊害が大きすぎます。これでは高齢者の生活はどんどん苦しくなるばかりです。


 ベーシックインカムの具体的な制度設計はこれから与党内で議論されるでしょうが、現在の年金制度は、現役世代が負担する保険料で、リタイア世代に年金を支払う「賦課方式」です。年金が廃止されて現役世代の保険料がBI税として「1人7万円」の給付に回されれば、賦課方式が破綻し、受給者にそのままの年金額を支払い続けることは制度上、不可能になります。


 少子高齢化に伴って「現役世代=保険料を支払う世代」が減り、「高齢世代=年金を受け取る世代」が増えていくため、世代間扶養をベースとした現在の年金制度は「破綻する」という主張もありますが、年金には“保険機能”もあるのです。それが、障害状態になった場合にもらえる「障害年金」、亡くなった際に遺族が受け取れる「遺族年金」です。

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